2023年7月19日
サーキットマテリアルズ 低誘電基板材料を開発 事業提携を検討中
高周波対応部材などの回路基板材料開発やコンサルティング事業を展開するサーキットマテリアルズ㈱(横浜市青葉区)はこのほど、低誘電材料の「CM―900シリーズ」を開発、ライセンシー供与を含めた国内外のCCL/FCCL企業との事業提携を検討している。2~3年後の量産化を目指す。
今回開発した組成物は、JSR(株)が開発したELPAC HC―Gシリーズを基本骨格として同社が独自開発した。同製品は、誘電正接0・0019/誘電率2・6(10GHz時)、吸水率0・2%の低誘電樹脂材料となる。難燃性はV―0相当で、耐酸化性もPPE(ポリフェニレンエーテル)系より大幅に低いことが判明した。
次世代の高速伝送や高周波特性が要求されるスマートフォン向け基板のFCCLをはじめボンディングシートとしての採用を見込む。このほか、基地局や大容量サーバー向けのメーン基板材料や、高性能化が進む半導体パケージ基板向けとしても売り込む。また実際の基板使用時では回路パターンの剥離を防ぐため、樹脂と銅箔などとの剥離強度を保つ必要があるが、接着機能が付与されており、メタルなどの金属系や異種材料とも高い接合力を誇る。このため銅箔表面を粗化処理する必要がなく、高周波特性にも優れる。ピール強度は1N(ニュートン)/㎜と実際の使用上も何ら問題はないとした。独自設計のため、トレードオフになりがちな低Df/低Dkと密着性の両立が図れた。
ボンディングシートとして活用する際には微細な配線形成も可能なSAPやMSAPのほか、従来工法のサブトラクティブ工法にも対応できる。このほかプリプレグやCCLとしての活用も可能としている。さらにはビルドアップフィルム向けの離型フィルムも取り揃えている。
ガラスクロスレスのCCLとしても低誘電正接を維持しながら高密着性や高耐熱性を維持できる。高周波向けにオールマイティーな基板材料を開発した。
ポスト5G/6G対応の基地局向けをはじめ、大容量サーバー向けのメーン基板には、現在主な基板材料としてPPE系がデファクトになっている。そのPPEベースに比べ、誘電正接などを大幅に改善した。実用化されれば、サーバーなどのシステム製品の高性能化が期待される。量産した製品は次世代の低伝送損失基板材料の主原料としての採用を見込む。同社では、国内外のCCLならびにFCCLメーカーへのライセンシー供与などの事業提携を検討している。
さらにLCPなどの高周波特性に優れる材料では高価なうえに加工性も難しいため、多層化やピール強度確保などに難点がある。MPIはもちろんのこと、PPEやLCP系を上回る電気特性を保持する今回の新規モノマーの開発で、次世代の高周波に対応した基板材料の新たな有力候補が登場した。 関連特許出願中
上記の詳細資料をご希望の方は info@c-materials.net までご連絡頂けましたら 資料を送付させて頂きます。